2016.04.24

タイの陶磁器「サンカローク焼き」

今週は、スコータイ取材第5弾「サンカローク焼き」という焼き物を。


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バンコクから北へおよそ440キロ、タイ北部の南端に位置する古都
スコータイ、その県名は
「スック・幸福」、「ウタイ・朝日」から、
「幸福の夜明け」という意味になります。


1238年、ここにタイの歴史上最古となる、タイ族による最初の王朝が
開かれました。特に王朝第3代目の王様・ラムカムヘン大王の時代は、
スコータイ王国の勢力も絶大なものとなり、近隣諸国とも仏教や
交易において、積極的に関係を結びます。芸術分野においては、
異国の様々な
文化を吸収しつつ、スコータイ独特の美術様式を生み
出していきますが、タイの文化芸術の古典
様式は、このスコータイ
時代に花開いたとご紹介して良いでしょう。

今日ご紹介の「サワンカローク焼き」も、スコータイ王朝時代を
代表する芸術文化の一つ。王朝3代目の王、今尚、名君と誉れ
高き
ラムカムヘン大王が、中国から陶工を招き、陶磁器作りに適した
良質な土が産出した
シーサッチャナライとその周辺に、幾つもの
窯が作られ、陶磁器を生産。

スコータイ時代からアユタヤ時代にかけて、「サンカローク焼き」は
重要な輸出品の一つと
なります。

「サンカローク焼き」の最盛期、14世紀から16世紀頃にかけては、
シーサッチャナライ周辺に
150〜200近い窯があったと伝えられて
いますが、焼き物の名前にもなっているサンカロークという
その
地名は、現在、シーサッチャナライの隣の郡、サワンカローク郡に
引き継がれていますので、シーサッチャナライとサワンカローク
一帯を、番組では「サンカローク焼きの里」とご紹介して
おきましょう。

「サンカローク焼き」は海を渡り、中国を経て、安土桃山時代から
江戸時代にかけ、日本に伝来。わびさびを重んじる茶人好みの器
として人気を博しますが、日本ではサンカロークという名称が、
いつしか「すんころく(
宋胡禄 / 宋胡録 / 寸古録)」となり、
今に至ります。

日本へと渡ったサンカローク焼きの中に、蓋のついた「柿香合・
柿の蔕茶碗」と呼ばれるものがあります。香合は、茶室で焚くお香を
入れておくものですが、確かに...柿に似た形。

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実はこれ、タイの果物マンゴスチンを型どったもの。当時、日本に
マンゴスチンなどありませんでしたから、柿と誤解されたまま、
今でも日本では「柿香合・柿の蔕茶碗」と呼ばれています。

数百年もの昔から、タイと日本がこの「サンカローク焼き」で結ばれて
いたということ、茶人に愛された器であるというのも、嬉しく思います。

スコータイ王朝・ラムカムヘン大王は、当時の美しく豊かなスコータイ
の様子を、"ナイナーム・ミープラー、ナイナーミー・カーオ" 
(水に魚あり、田に稲穂実る)」と、碑文の中でもうたわれていますが、
「サンカローク焼き」の特徴とも言えるのが、向かい合わせとなった
魚や植物のモチーフです。

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サンカローク焼き初期のモチーフは、とてもシンプルなものだったそう。
どこかユーモラスなサンカローク焼きのモチーフ...長きに渡る平和な
時代は、自然を慈しみ、
楽しんだであろう、当時の人々の心の余裕、
遊び心も感じられます。

今回の取材では、
スコータイの新市街にある「サンカローク陶芸博物館」
も見学させて頂きました。

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この博物館は、隣接するホテル「アナンダ・ミュージアム・ギャラリー
ホテル」の敷地内にあり、
スコータイご出身のホテルオーナーご夫妻の、
2000点以上ものコレクションを見る事が出来ます。説明書き等は全て
タイ語となりますが、入口の受付カウンターにて、展示物に関する
日本語パンフレットを貸し出していますので、博物館見学の際は、
ぜひその日本語パンフレットを手に、貴重なコレクション、
ご覧ください。見応えありますよ~。

1階は主に、「サンカローク焼き」とスコータイ周辺で出土した陶器等。
2階は、当時スコータイと交易していた国々や近隣諸国の仏教芸術が
展示されています。

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博物館所蔵品の中でも、最も貴重なお皿がこちら。

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「サンカローク焼き」は、主に魚や植物がモチーフだとご紹介しましたが、
このお皿には高床式建物が描かれています。現存するのは世界にこれ一枚!

博物館を後に、サンカローク焼きの工房「ステープ・サンカローク」へも。

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こちらではサンカローク焼きの絵付け体験が出来ます。私も見本の
絵を参考に、素焼きのカップに魚の絵を描くも...

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工房にて、職人さんたちの素晴らしい技術を拝見!

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併設のギャラリーでは、もちろん購入も可能。ギャラリー奥には、
お土産や旅の思い出にも最適な、サンカローク焼きのカップや小皿、
ティーポットなども、所狭しと並んでいます。

また、「ステープ・サンカローク」の向かいには、ガネーシャ博物館も
あります。

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「Suthep Sangkhalok(ステープ・サンカローク)」

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(クリックで拡大)

タイの陶磁器、過去番組では「セラドン焼き」と「ベンジャロン焼き」
をご紹介しました。タイの陶器...歴史的な順番としては、今日ご紹介の
「サワンカローク焼き」「セラドン」「ベンジャロン」そしてタイ語で
「ラーイ・クラーム」と呼ばれる「ブルー&ホワイト」となりますが、
実は、サワンカロークよりも昔、タイ東北部・ウドンタニ県のバーン
チアン村で1957年に発掘された、赤色の渦巻き紋様のある土器の破片は、
鑑定の結果、推定で5600年以上も昔の物であることが判明しています。

このバーンチィアンも、1992 年に世界遺産として認定されましたが、
機会がありましたら、このバーンチアンも皆さんにご紹介したいところ。

タイはじめ世界中の焼き物の歴史をたどっていくと、それぞれが交易を
通じて影響しあい、技術も向上していったことがわかります。特に
焼き物は、人の手によって一つ一つ作られていくもの。一つとして
同じ物がないという魅力と、温もりがあります。タイ旅行の思い出に、
サワンカローク
はじめ、セラドンやベンジャロンは、いかがですか? 

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